去る2025年11月12日~15日の4日間にわたりアクリエひめじにて開催された「第45回医療情報学連合大会・第26回日本医療情報学会学術大会」におきまして、企業展示ブース並びに、弊社関係者が登壇したパネルディスカッションやポスター発表等にお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。
皆さまのおかげをもちまして、盛況のうちに会期を終えることができましたこと、心より御礼申し上げます。
<展示ブースについて>
展示ブースでは、多くのお客様にお立ち寄りいただき、弊社の「レジストリデータ活用支援サービス」や「臨床研究・PMS支援サービス」等をご紹介する貴重な機会をいただきました。
<パネルディスカッションについて>
公募パネルディスカッション2「電子カルテ由来臨床データの知識ベース化‐ナラティブデータからLLMを用いて臨床データを構造化する‐」では、弊社客員研究員 加藤康之が座長を務め、大規模言語モデル(LLM)の活用による臨床研究データベース利用の裾野拡大の可能性等について議論を行いました。また、演者としても、LLMの構造化精度評価方式、構造化精度やプロンプト表現と量子化の関係性分析等の研究結果、電子カルテからLLMを用いて抽出した臨床情報(構造化情報)から治療経過を自動可視化(フローチャート化)する方式の提案等を行うとともに、 LLMを活用した自然言語でのデータベース解析システムを開発し、電子カルテの自由記載テキストから臨床的に有用な情報を効率的に抽出する手法についても紹介しました。
公募パネルディスカッション10「リアルワールドデータ連合解析とTrusted Research Environment― 匿名化されていない院内データの安全な分析手段の活用に向けて」では、弊社データサイエンス室長 岡田昌史がオーガナイザーおよび座長を務め、リアルワールドデータの迅速な活用のための新たな手法として注目されている連合解析(Federation Analysis)*1とTrusted Research Environment(TRE)*2の導入の利点と課題について議論を行いました。また、演者としてもそれぞれの技術について説明を行い、その利便性や注意点等について説明を行いました。
*1 分散している複数データベースに解析プログラムを配布し、集計結果のみを回収する方式であり、個別レコードを外部に晒すことなく迅速な症例数計算を可能とする。
*2 アクセス権限が付与された研究者が安全にデータセットの受取り及び統計分析のための環境を備えたプラットフォームであり、院内に設置された仮想環境に外部研究者が安全にアクセスし、同意が得られた症例のデータをAPIを通じて抽出・解析することが可能。データは院内から動かないため安全であり、EDCを介した手作業での転記が不要であるため作業効率と再現性の両面で優れている。
<一般口演について>
一般口演19「リアルワールドデータを用いたBCG治療後泌尿器関連副作用の評価:AIによる抽出精度と課題」では、弊社が研究支援を行っており、京都大学医学部附属病院が主導する研究基盤であるJ-CONNECT*3にて実施しているCONNECT2( 「がん診療に関する院内RWDの網羅的収集および利活用に関する多施設共同研究」)研究のデータを用いて実施した研究の成果について松本繁巳氏(京都大学大学院医学研究科、京都大学医学部附属病院)より発表が行われました。本研究では日本語能力を強化したLLMを用いた症状抽出精度の検証を実施しており、高感度な結果が得られた一方で、過去症状の混在やカルテ記載の曖昧性が偽陽性の要因であり、時系列構造・構文情報の活用やweak supervisionの導入が判別精度の向上につながることが発表されました。
*3 J-CONNECTの創設及び後向き大規模リアルワールドデータ収集(CONNECT-2)の開始について https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20231024.html
<ポスター発表について>
「大規模言語モデル(LLM)を用いたがん患者の放射線診断レポートに記載された病勢増悪情報の抽出」の演題にて、弊社社員 山野基大が放射線診断レポートに記載されている腫瘍の縮小・増大、新たな病変の出現などの病勢増悪に関する情報を大規模言語モデル(LLM)を用いて自動的に解析、構造化するモデルを構築し、検証を行った結果、治療増悪情報を効率的に抽出できる可能性があることを発表しました。
また、「非構造化データからの臨床アウトカム情報の抽出 ~進行再発乳癌に対する頭部MRIレポートを用いた脳転移検出の試み~」の演題にて、弊社が研究を支援した中外製薬株式会社の山中菜詩氏より発表が行われました。J-CONNECTの枠組みを活用して、乳癌における脳転移の有無を非構造化データである頭部MRIレポートから係り受け解析によって判定するモデルを構築し、本モデルにより、非構造化データからエフォートレスに構造化データを構築するだけでなく、施設数の拡大に伴う症例数増加時での活用、さらには別部位の転移や肺癌など他癌腫への応用可能性についても示されました。
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弊社は引き続き、リアルワールドデータの活用を通じて次世代医療の発展に尽力してまいりますので、今後とも一層のご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本件に関するお問い合わせ先
新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社
プライムプロモーション部
担当:藤田、平
電話番号:075-752-0330
メールアドレス:pr-ml-primer@ntt.com